本日の最高気温は0度でございました。
夕べ、映画を観終わったら、外はちらほら雪だったのですが、今日は比較的晴れていて、でも、すっげェさぶい!街行く人、みな、固まってました。
さてさて、昨日お話した五所平之助の映画ですが、初日一作目の上映は、1936年っつうから、昭和11年制作の「朧夜の女」。五所監督の映画では、最初に商業的に成功した作品だそうな。主演は徳大寺伸、飯塚敏子。飯田蝶子も。簡単にあらすじを紹介すると、東京は下町が舞台で、法科の学生(徳大寺伸)と、もと芸者でバーの女給(飯塚敏子)の悲恋物語。早くに父親に死なれて、女手ひとつ(飯田蝶子)で大切に育て上げられた息子が、ひょんなことから知り合った伯父さんの昔馴染みの女給と恋に落ち、子供ができちゃう。染物屋の伯父さんには子供がないので、甥と女の関係を伏せたまま、伯父さんは自分の妾に子ができたことに仕立て上げることに。周囲はすっかりこの話を信用してうまくいくのだけど、妊娠中毒症にかかって、女給はあえなく死んじゃう。甥っ子は秘密を守ることに苦悩するも、伯父さんに苦労してきたおふくろさんや自分の将来を考えろと説得されて、泣く泣く我慢するという結末。
時々、鏡に映った顔を上手く利用したカメラアングルがあり、そういう場合は役者のうしろ姿と顔の表情と両方から、心理描写が充分に出ていて、ほォ〜〜っと感心。染物屋さんやら、食べ物屋さんの様子も、いまでは殆ど見られないものばかり。窓からの景色として築地辺りの隅田川や橋の景色には、戦前のあの辺り、こんなだったのかァと興味津々に。
この映画で一番びっくりしたのは、登場する女性が殆どみんな煙草吸いなのだ。(笑)何かっていうと両切の紙巻やら、煙管やら、火鉢に顔突っ込んでスパスパやってる。ま、出てくる人たちがだいたい商売屋のおかみさんだったり、食べ物屋やバーの女給さんだったりだけど。道端で立ち話しながらとか、人の吸いさしから火を貰ったり、町場で働く女はさばさばしてて、なんか気風がいい。
飯田蝶子はこの映画で母親役なのだけど、牛鍋屋さんで気の利いた女給さんをしていて、ふと、あァ、若大将のおばあちゃん、スキヤキには年季がはいってるんだな、な〜んて密かに笑っちゃいました。
妾に子供ができたという話で、始めは文句たれるおかみさんも、腹くくって、その子を引き取って育てるということにすれば女があがる、という義妹(飯田蝶子)の説得を受け入れ、まさに近所のおかみさん連中から誉められる。その義妹は、まさかに息子が本当は相手なんだと知らずにだけど、自分の兄さんの妾の面倒をあれこれ見る。入院すれば揃って見舞いに行き、葬式も出して、心底涙を流して悲しむ。
戦前の日本女性の姿に感服いたしました。
写真は主人公のおふたり。
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